「大丈夫。伊勢君も帰っていいよ。疲れてるでしょ?」 「いや。まだ帰りたくねぇ気分だしよ」 やはりただの気分だったか。 勝手に掃除しているだけなので頼むこともなかったけど伊勢君は気怠いそうに窓を拭き出す。 そんな面倒な顔するなら帰ればいいと思った。 「お前さ、この部好きか?」 「好きだよ」 「隠岐君、すげえ良い部長だしな。優しい反面すげえ厳しいところとか。まじ尊敬する」 その言葉には『うん!』と勢いよく頷いてしまった。 はは。初めて伊勢君の前で笑っちゃったよ。