水の流れる音をBGMに……、
「ずっと、好きだった」
背中に聞かされた言葉。
わたしの涙は一瞬で止まった。
「……え?」
いきなりの事態に、言葉をなくすほどに驚いた。
失礼ながら、彼のこと、まったく、そんな目で見ていなくて。
「ずっと、寺本のこと、見てた」
でも、うれしいとか思うよりも、
今、なに言ってんの!?
そんな時じゃないでしょう?
って、思ってた。
わたしの頭の中は、負け試合の中身ばかりが、渦巻いていた。
あの時、こうすればよかった、もっと、ああすればよかった……って。
だから、驚いた後に来たのは、嬉しさではなく、失礼ながら鬱陶しさ。
……で、
「ありがとう。でも、ごめん。今は、考えられない」
と、即答していた。
水に濡れた顔をタオルで拭きながらした、
色気のかけらもない答え。
子どもだったなって、思う。
でもあれから、少しだけわたし、女の子になったと思う。
自分が女の子なんだって、あの時から、ようやく意識しはじめた。