「……ごめん。ムリ」 「何でですか?」 「キミが聞く?」 と、先輩は言った。 相変わらず、先輩の視線の先には陽菜がいて、陽菜の隣には叶太くんがいる。 だけど、先輩が陽菜を見つめる目は、ひたすらに優しい。 「いいじゃないですか」 「ん?」 「陽菜を好きなままで。……どうせ、叶わないんだから」 先輩は苦笑いを浮かべた。 「手厳しいね」 「自分でも分かってるくせに」 「そうだね」