「まぁでも、
一筋縄じゃいかねぇオンナだな…

とりあえず、ケータイだけは渡したから、お前も今日は家帰って、少しは眠れよ」



ケータイも、鍵も、財布も、全部置いてった咲陽が戻って来るかもと…
一晩中、事務所で待ってた。

智和も、そんなオレに付き合ってくれた。


「お前だって寝てねーだろ?
今日はウチ泊まれよ」


「いや、風呂だけ借りるワ。
あのコ、戻って来っかもしんねぇし…

つか、明日休みなんだから、迎え行ってやれよ」


「………」






オレは迎えにも行けず…
そしてまた眠れずに…

一晩中、考えてた。


咲陽にとっての"救い"は、なんなのか…




誤解が解けても、連絡してこない咲陽。


真実は、なんの救いにもなってないのか?

もう、オレの事が信用できないのか?

それとも…



昨日の咲陽の言葉が…

深く、深く、突き刺さる…