冷酷な彼は孤独な獣医

「そんな風に言わないでよ………涼太と同じ事……言わないでよ……」


「涼太?誰だそれ?有名人か?」


「さっきまで付き合っていた彼氏」


あたしは犬を連れて病院を出ようとした。



そして、ドアを開けると獣医があたしに言う。



「診察料払って行け!」


「えっ……」


「だから、診察料払えって言ってるんだ」


「…………」



その言葉にあたしは黙り込んだ。


すると獣医が話す。


「言っておくけどな!俺は最低限の生活ができるくらいの金があればいいんだ。

だから、その犬の治療費をタダにしてやってもいい」


「じゃあ…」


「でもな!そんな事をしたら、

まともな金を払って此処に来ている客に悪いだろ!」



獣医は厳しい顔であたしを見る。




獣医の言う事はもっともで、


あたしはバッグから財布を取り出し、

全財産の500円を渡した。


「これしかないよ……それが今のあたしの全財産」