夜になった。 台風が早めに近づいて来たのか、風の音がうるさい。 停電したら、やだな。 懐中電灯も捨てちゃったし。 ふいにインターフォンが鳴った。 反射的に玄関へ行き、ドアノブに手を伸ばした。 待って… 誰? またインターフォンが鳴った。 覗き穴を見るまでもない。 「頼むから開けて」 声が聞こえた。