マンションから出ると
誠司はそこにいて
夢じゃないことがわかった。
「ごめんな、こんな時間に。」
「ううん。」
私はまともに
誠司の顔を見られなかった。
「あのさ
俺別れるつもりないからね。」
ん?んん!?
私は思わず顔を上げてしまった。
「だって昨日メールで
『ごめん』って。」
「あれは『行けなくてごめん』の
『ごめん』だから。
別れるとかそんなの
考えてないから。」
これメチャクチャ
恥ずかしいやつ。
恥ずかしくて
顔を上げられなくなった私は
下を向いたまま
固まってしまった。
「髪切ったんだな。」
いつのまにか誠司は
私の目の前に来ていて
髪の毛を触っていた。
「ネックレスしてくれてんだな。」
誕生日のとき
ハートのネックレスを
プレゼントでもらった。
別れたってわかってても
なかなか外せなくて
つけたままだった。
「薫乃
俺お前と絶対別れないからな。」
そしてぎゅと抱きしめられた。
久しぶりの誠司のぬくもり。
嬉しくて泣きそうだけど
なんとか我慢して
誠司の背中に腕をまわした。
「誠司、好き。」
私は小さい声で言った。

