「そんな事……」 本当に、ないと思う この世界に入って、 最近の私は歌う事を楽しんでいないような気がする 涼雅のように、 これほど曲を愛し、 歌える事に喜びを感じていない そんな私が歌っていいのだろうか 「ま、俺、そろそろ本当に帰るわ。 じゃーな、“花”ちゃん」 「あ……」 踵を返し背を向けて歩き出す涼雅に手を伸ばすけど、 追いかける事はしない もう、追いかけない