「ねえ奈良くん。好きな動物って何?」
「ミドリムシ」
「……あれは植物なのでは?」
「植物であり動物でもあるんだよアイツらは。葉緑体で光合成をする植物的性質と、鞭毛運動をする動物的性質とを持ち合わせているから、単細胞生物は動物と植物の区別が難しいらしいぜ」
「そ、そうなんだ……」


唐突な質問にさらりと回答した奈良くんに思わず顔を引きつらせてしまう。
意外に物知りってことに驚いたのもあるけど、ミドリムシというチョイスがあまりにもインパクトありすぎて。

スポーツマンでアグレッシブだしカッコイイ物が好きそうだから、チーターとか鷹とかシャチとかかと思ったのに、実は隠れ理化学系男子だったりするのかな……?それなら土いじりにももっと積極的に興味を示してくれたらいいのに。

軍手をはいた手で抜いていった雑草の山が大きくなってきた頃、昼休みの終わり五分前を告げるチャイムが鳴ったので、私はよいしょと立ち上がった。
続きはまた次回にやろう。
だいぶ整った花壇を眺めてほんの達成感を得た私の隣で、軍手を脱ぎながら奈良くんは何かを思い出したらしい。