兄貴がミカエルになるとき

「DVDを見るならコンビニでビールも仕入れないと。それで途中で酔って抱きつくかもな」

にやっと笑って私を見る。

「誰に?」

横目で睨む。

「誰よりも愛しい、モンモンに」

「アホじゃない? 嫌われるよ」

アハハハ、楽しそうなトオ兄の笑い声が春の夜に響く。

明日はまた寝不足のまま飛行機に乗り込むことになるのだろう。

どこからか沈丁花の香りが流れてくる。

大好きな、大好きな花の香り。

この香りに出会うたび、きっとこの夜の日を思い出す。
いつでも、どこにいても、来年も5年後も10年後も、そしてもっと時が経っておばあちゃんになっても、必ずこの夜を思い出す。

ほら、すっかりおまじないが効いてきた………。

(完)