「とうっ、着いたぞう。はあ、はあ、ここが二十年後の東京か……うう、何だか砂塵が凄いなあ。それに何だこの暑さは……まるで砂漠じゃないか。もしかして国を間違えたのかなあ。あ、向こうからお爺さんが。聞いてみよう。あの、すみません。僕は過去からやってきました、テストで0点ばかり取る駄目キャラの小学生です。ここは日本ですか? え、そうですか。どうしてこんなに空気が悪くて、暑いんですか? えっ、大気汚染と地球温暖化が進んでる? そんなっ、あっちの人にも聞いてみよう。すみません、あれっ、会う人会う人みんな、お年寄りばかりだぞ。えっ、日本人の三人に二人は高齢者? まさか、こんなに少子高齢化に拍車がかかっていたなんて……」

「あのー…、お風呂場から失礼します。そのリアル深刻な未来設定、いらなくない? もっと明るい、楽しい未来を想定しましょうよ」

「何言ってんだよ、静香。僕たちが結婚して、少子高齢化対策を講じようじゃないか。僕と、結婚してくれますか?」

「はい、喜んで」

「…………上手くいきすぎてビックリ」

「だな。最初からやり直す?」

「……いや、もうこれで行くわ。駄目だったら、笑って」

トゥルルルル、トゥルルルル……


「……透琉くん?」

「菜々ちゃん? 俺と、結婚してくれますか?」

「…………」

「僕と結婚してくださいませんか」

「な、何で、そんなっ…いきなり?」

「え?……っと、テレビ観てくれてる、よね?」

「………ごめん、観てない」

「どっひゃあ~、出直してきます!」