年下の幼なじみは雨に濡れて風邪を引き、自分だけ濡れずに帰るなんて。

さすがに、私もそこまで非道な人間でもない。



「看病なんてしないからね。
というか、風邪、引かせないから。

…家、すぐそこだし。私、走って帰る。」

そう言って傘から出ようとしたところで、腕を引っ張られ、傘の下に戻される。


しかも、その反動で。

良樹の傘の持っていないほうの、左腕の中にすっぽり包まれてしまった。