あーあ、この時期に傘を持ってないなんて。 ザンネンな子だ。 うーん。 このまま、見ないふりするのはさすがに。 そう思い、この止みそうにない雨を書店の入口でただ、黙って眺めている。 2つ年下の幼なじみに声をかけた。 「良樹、傘は?」 私に気づいた良樹はニコッと微笑むと。 「あっ、知莉ちゃん!いいところに。 ちょっと家まで入れてってよ。」 そう言って、私の傘の下に入ってきた。