カシャンという、音とともに傘が下に転がると良樹にくるっと回されて。 向かい合うかたちになった。 「雨、上がったね。 …知莉ちゃん、顔真っ赤だよ。」 「いちいち言わないでいい。 良樹だって、真っ赤じゃん。」 私がそう言うと、よりいっそう、良樹の顔は赤くなる。 そして、少しにやっと笑うと。 「だって、知莉ちゃん可愛いし。」 なんて言って見つめるから。 私のほうがもっと真っ赤な顔になる。