「…知莉ちゃん、僕のこと、キライ?」 「なに言ってんの。 …キライなわけないじゃん。」 キライなら、一緒の傘に入っていいなんて、そもそも言わない。 「僕にこうやってぎゅって、されたりするのイヤ?」 「…イヤ、じゃない。 どきどきして、どうしたらいいかわからないけど。」 イヤならとっくに、振りほどいて、この場から去っている。 というか、むしろ。 たぶん、嬉しい、と思う。