あ……。 ふたりの行動を呆然と眺めてしまうあたしは、その場から動けなくて。 「もうっ……ちゅーで誤魔化さないでよ」 「黙っとけって。舌噛むぞ」 そんな会話を挟むと、再びキスをする二人。 彼女がバタバタと騒いでいるけども、次第に高瀬さんに身を任せるようになった。 美男美女の二人だからドラマのワンシーンみたい。 けれど、知らず知らずのうちに頬に温かいものが伝っていた。 口の中へしょっぱいものが入り込んできて、自分が泣いているのだと知る。