一つの傘に二人で入って歩いて行く俺んち。


この時間ならまだ親は帰って来ない。


………これじゃあ、茉璃と二人っきりになりたいみたいな言い方じゃん。



とりあえず、若干散らかってる俺の部屋に茉璃を押し込む。


「着替えろ」

「着替えありません……」

「これでいい?部活のだけど」

「うん、ありがとう……。濡らしちゃうかも…」

「あーほら、これ使え」


タオルと着替えを投げ渡して、部屋のドアを閉めた。



なんであんなに暗い顔してんだ?


男バスも部活休みなのに、なんで有阪と一緒にいない?


気になることが多過ぎるわ………。


でも、きっとここで何も聞かない方がいんだろうな………。



「隼世くん。ありがとうございます。着替え終わりました」

「ん。じゃ、制服貸して?洗濯機で乾かしてやる」

「あ……ごめんね。ほんとに、ありがとう」


弱々しく笑った茉璃の頭を撫でると、まだベチャベチャ。


ほんと手のかかるヤツ。


「はぁー………ちょっと待っててな」


あとで髪拭いてやろ。