【茉璃side】



寒さに手を擦り合わせながら、12月の寒空の下を小走り。


学校の下駄箱でくつを履いてると、大好きな後ろ姿。


寒さなんてどうでもよくなっちゃいます。



「隼世くん!おはよっ」

「……ん、はよ」


心なしか冷たく感じる挨拶。


やっぱり……まだ落ち込んでるの?


一人で抱え込んで責任感じてるの?


けど、きっとぐいぐい傷に触れるのはただのお節介。


あたしは隼世くんが早く元気になってくれるように努力しなきゃ。


「隼世くん……あのっ、英語の宿題やりました?」

「あー……忘れてた。やってねぇわ」

「へへっ!あ、あたしも忘れちゃったんです!一緒ですねっ」

「恭平にでも見せてもらうか」



そんな無理して笑わないでよ……。


精一杯してる作り笑いが胸に突き刺さり、あたしが悲しくなる。



隼世くんがこうなった事の発端はつい1週間前。


サッカーの公式試合で負けてから。



“3年生を差し置いてのスタメンフル出場なのに負けてしまった”



それで、とても重たいほど責任感じてるみたい……。


隼世くんのせいじゃないのに……。