人混みの中、隼世くんの手を握り上を見上げる。


真っ黒な空に、キラキラ輝くカラフルな花火。


キレイ………。


「またボケッとしてたら迷子になるって」

「あ、うん。大丈夫だよ?」

「大丈夫じゃないから言ってんだよ。行くぞ」

「どこ行くの~?」


隼世くんはあたしを人混みから、離れた神社の方面に連れて行く。


広々とした石段には、もう数人の人がいてみんな空を見上げてる。


隼世くんもあたしを石段に座らせた。


「ここ……よく花火見えるらしいから。それに迷子にならねぇじゃん?」

「もうなりません!でも………キレイだね……。調べてくれたの?」

「し、調べる暇とかないし!噂で聞いたんだよ……」


うん、調べてくれたんですね?


照れ隠しで、隼世くんはあたしの手に冷たい手のひらを重ねた。


そんな時、ふと横から視線を感じて隼世くんの方に振り向けば………



花火が夜空を彩ると同時に重なる唇。


すぐ離れた唇だけど、あたしにとってはすごく長く感じて………。


「また来年も見たいですね」

「そうですねー」


照れたように言う隼世くん。


今日見た花火は特別で忘れません。