ただでさえ、薄氷のように頼りなげだったあたしの足元。
コータ先輩の一言で、そこに無数の亀裂が走っていた。
あたしにとって、恭一はどういう存在なのか。
最初はただ、あたしの知らないあたしの過去を、知っているらしい男ってだけで。
だから恭一の隠していることを吐かせたら、それでおしまいになるはずだった。
でもいまはどうだろう。
恭一からすべてを聞き出した後、アイツとの関係はどうなるの?
わからない。
それからもう一つ。
恭一にとって、あたしはどういう存在なのか。
そんなの、もっとわからない。
『今日バイトだよね? 帰り迎えに行くからね~☆
恭一』
六限目の途中でそんなメールが届いても、返事は書かなかった。
そんな八つ当たりをするくらいなら、もっと本気になって恭一に、すべて教えてほしいって頼めばいいのに。
それができない理由なんて、考えたくもなかった。
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