「そんなの…あたしが知りたいくらいです!」
強く先輩を睨みつけ、その手を振り払って立ち上がる。
そして百円をベンチに叩きつけた。
カフェオレの代金だ。
おごってもらう理由なんてない。
「ユリ! 戻るよ!」
「え~。もう?」
まだ葛城先輩の横をがっちりキープしていたユリは、不満そうな顔をした。
逆に葛城先輩はホッとしたような顔になっていたけど、ユリは気付いていないだろう。
「あたし先行くからっ」
「えっ。待ってよ美緒!」
視界の端でコータ先輩が立ち上がり、何かを言いかけるのが見えたけど、あたしは逃げるようにその場を後にした。
自分が避けてきた問題を、他人に突きつけられる心地の悪さ。
それをムリヤリ苛立ちに変えて。
けれどぶつける先が見当たらなかった。


