けれどコータ先輩はまったく気にした様子なく、肩をすくめる。
「それこそ関係ねーよ。俺の気持ちは俺のものだから」
どうしよう。
会話にはなっているはずなのに、なんだか噛み合っていない。
困りながら、とりあえずこの手から逃れようと思ったんだけど。
バスケットボールを余裕でわしづかむ手は、あたしの手を解放しようとしてくれない。
「あの…放してください」
「俺の質問に答えてくれたらいいよ。…あの金髪の人って、美緒の何?」
「何って…」
「どういう関係?」
その問いに、あたしは言葉どころか呼吸すら止めた。
恭一が、あたしにとってどういう存在か。
もちろん恋人なんかじゃない。
友だちと呼ぶには、相手を知らなすぎる。
知り合いと呼ぶには、距離を縮めすぎた。
次に浮かんだ種類とその定義には、全力で首を振っていた。
ありえないよ。


