空になったパックをゴミ箱に投げ入れる。
もう戻ろうと、立ち上がりかけた時。
不意にコータ先輩があたしの右手を掴んできた。
「この間の映画、誰と行ったの?」
手を振り払うより先に、そう尋ねられて固まる。
彼は真剣な顔であたしを見ていた。
「…誰と行こうが別に、」
「あの金髪の人とだろ」
断言され、あたしは口をつぐむ。
嫌な気分になってきた。
これは…罪悪感だろうか。
それとも、羞恥心?
きっと両方なんだろう。
顔も知らない、恭一の彼女に対する罪悪感と、
恭一に彼女がいることを知っているコータ先輩に、痛いところをつつかれた羞恥。
最悪だ。
「…あたしが誰と行こうが、先輩には関係ないでしょ」
「あ~あ。それ言うかなー。俺は美緒に片思い中なのに」
「…あたしはお断りしました」
そうだ、あたしは断った。
キッパリハッキリ。
なんか強引にオトモダチにされたけれど。


