コータ先輩は真っ白な歯を見せ、「以心伝心」と笑う。
ドキリとした。
恭一も、前に同じことを言っていた気がする。
「ウソだよ酒井チャン。こいつ、酒井チャンのこといっつも見てたから知ってるだけ。キミ、カフェオレしか買わないだろ」
葛城先輩の言葉にあたしはうなずいた。
たしかに、あたしは自販機でカフェオレしか買わない。
しかしまさかソレを、他人に知られていたとは思っていなかった。
「あーあ、言うなよ葛城。俺がストーカーみたいじゃねーか」
「ウソは言ってねぇ」
「もうおまえ黙っとけ。で、そっちのコ、美緒の友だちだよね? キミはなに飲む? おごったげるよー」
コータ先輩に声をかけられたユリは、顔を赤くして「いいんですか!?」と喜ぶ。
その様子を見ながら、あたしは手の中のパックジュースに複雑な思いを抱いた。


