「そうなんだよ。でも美緒のそういうクールなトコにも俺はやられてんの。ね、美緒」
「知りません。ってゆーかいつからあたし、下のなまえで呼ばれるようになったんですか」
「え? だってこないだ俺ら、オトモダチになったじゃん」
オトモダチになったら呼び捨てなのか。
勝手なルールに思わず顔をしかめると、またコータ先輩の横の人が笑った。
思い出した。
この人元バスケ部で、部長さんだった人だ。
名前はなんだっけ…
考えていると、いきなりコータ先輩に鞄を取られた。
「重いでしょ。持ってやるよ」
「結構です」
あたしはすぐに奪い返す。
こういう扱い好きじゃないし、ただのオトモダチにされても困る。
何より見ている女子生徒に、呪い殺されそう。
「遠慮することねーのに」
「遠慮とかじゃないです。自分で持てるものは自分で持ちたいんで」
「カッコイー♪」
隣りの人が目を閉じながら、からかうように口笛を吹いた。


