――
―――――
朝、バスに乗り込むとすぐ、声をかけられた。
「おはよう美緒」
混み合うバスの中、声をした方を向くと後ろから押され、あれよあれよという間にバス後部に移動していく。
もう少しバスの本数を増やしてもらえないだろうか。
やっとゆとりのあるスペースまで流され、ほっとして手すりに捕まると、目の前には声をかけてきた相手、コータ先輩がいた。
二人掛けの座席からニコニコとあたしを見上げている。
朝から周囲の目が痛い。
「…おはようございます」
「混んでるな。大丈夫?俺の代わりに座る?」
「ヘーキです」
「じゃ、俺の膝にでも座るか?」
爽やかな笑顔でおかしなことを言う。
この人は確かにカッコイイけど、やっぱり変だ。
あたしが呆れて返答もせずにいると、コータ先輩の横に座っていた大きな男の人が笑う。
映画を観に行った日、コータ先輩と同じジャージを着ていた人だ。
「コータ、おまえ全然相手にされてねえな」
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朝、バスに乗り込むとすぐ、声をかけられた。
「おはよう美緒」
混み合うバスの中、声をした方を向くと後ろから押され、あれよあれよという間にバス後部に移動していく。
もう少しバスの本数を増やしてもらえないだろうか。
やっとゆとりのあるスペースまで流され、ほっとして手すりに捕まると、目の前には声をかけてきた相手、コータ先輩がいた。
二人掛けの座席からニコニコとあたしを見上げている。
朝から周囲の目が痛い。
「…おはようございます」
「混んでるな。大丈夫?俺の代わりに座る?」
「ヘーキです」
「じゃ、俺の膝にでも座るか?」
爽やかな笑顔でおかしなことを言う。
この人は確かにカッコイイけど、やっぱり変だ。
あたしが呆れて返答もせずにいると、コータ先輩の横に座っていた大きな男の人が笑う。
映画を観に行った日、コータ先輩と同じジャージを着ていた人だ。
「コータ、おまえ全然相手にされてねえな」


