うーん、やっぱり見られていたか。
「ちがうよ。そういうんじゃない」
「そうか…」
ほっと小さく息を吐いて、家へと促すように、あたしの背中に手をやるお父さん。
あんなチャラい見た目の男を彼氏だなんて紹介した日には、勘当されるだろうな。
「そういえば美緒。前にストーカーがどうとか言っていただろう。大丈夫なのか?」
「ストーカー? ああ…恭一のことか」
「恭一?」
「別になにもないよ」
「おい美緒…」
「あんなの冗談に決まってるじゃん。本気にしちゃったの?」
あたしは肩をすくめて、さっさと先に家に入った。
少し、イライラしていたのかもしれない。
恭一を好きかもしれないなんて。
そんなつまらない話、ありえない。
つまらな過ぎて、笑えもしないよ。
追いかけてきたお父さんは、まだ何か訊きたそうな顔をしてたけど、深く追求してはこなかった。
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