「…もしもし?」
『美緒~っ!! またフラれたあぁぁ~っ』
朝から鼻声の叫び。
あたしはケータイから耳を離してため息。
「またですか…」
結城さんのことがあって、一時期ガードを固くしてたヒカルだけど。
最近はまた『流され病』が再発してる。
コリないってゆーか、学習能力がないってゆーか。
『またってぇぇ! ひどいよ美緒~!』
「はいはいゴメンゴメン。今度カラオケ付き合うから」
『今日がいいよ~!』
「今日はダメ」
ついきっぱり断ると、電話の向こうでヒカルがさらに激しく泣く。
あたしが男だったら、絶対ヒカルを泣かせたりしないんだけど。
残念ながらあたしは女で、三上くんていう出来すぎな彼氏がいる。
そこにタイミングよく三上くんが教室に入ってきて、目が合った。
あたしだけに向けられる控えめな笑顔。
「三上くん来たから切るよ」
『うわ~ん! 美緒のバカぁ~!』
ヒカルの叫びを聞きながら、あたしは電話を切って三上くんのところに駆け寄った。


