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―――――
夕方からチケットを買って入る客はあたしたちくらいで。
他の客は、皆ぞろぞろ帰り始めていた。
夜間営業してるっていっても、やっぱり冷えてきたし。
客もまばらになっていく園内を、あたしたちは手を繋いで歩いた。
途中であったかい缶コーヒーを買って、ささやかな暖をとりながら。
交わす言葉なんかほとんどなくて。
ただ繋いだ手だけで互いの存在を確かめ合って、静かに園内を回った。
前に来た時とはえらい違い。
でも、それで良かった。
楽しみにここに来たわけじゃないから。
あたしの足は、自然と象の柵の前で止まった。
別に象が見たかったわけじゃなくて、自分でもよくわからなかったけど。
「キョンキョンが言ってたよ」
二人で柵に寄りかかっていたら、隣りの男が口を開いた。
「ここでちっちゃい美緒ちゃんと初めて会ったんだって」
「ここで?」
「そう。ここで」
言われても、その時のことを思い出すことは出来なかったけれど。
その時の様子はなんとなく、想像することができた。
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夕方からチケットを買って入る客はあたしたちくらいで。
他の客は、皆ぞろぞろ帰り始めていた。
夜間営業してるっていっても、やっぱり冷えてきたし。
客もまばらになっていく園内を、あたしたちは手を繋いで歩いた。
途中であったかい缶コーヒーを買って、ささやかな暖をとりながら。
交わす言葉なんかほとんどなくて。
ただ繋いだ手だけで互いの存在を確かめ合って、静かに園内を回った。
前に来た時とはえらい違い。
でも、それで良かった。
楽しみにここに来たわけじゃないから。
あたしの足は、自然と象の柵の前で止まった。
別に象が見たかったわけじゃなくて、自分でもよくわからなかったけど。
「キョンキョンが言ってたよ」
二人で柵に寄りかかっていたら、隣りの男が口を開いた。
「ここでちっちゃい美緒ちゃんと初めて会ったんだって」
「ここで?」
「そう。ここで」
言われても、その時のことを思い出すことは出来なかったけれど。
その時の様子はなんとなく、想像することができた。


