そう言ったら、横で矢沢エイジが緩く首を振った。
それは違うって。
とても悲しそうな顔で。
「俺は勘違いなんて思えないよ」
「なんでそこまで…」
「全部、見てたからさ。美緒ちゃんが知らないことを、知ってるから」
そんなのわかってるよ。
あたしよりアンタの方が恭兄ちゃんと一緒にいて、恭兄ちゃんのことをいっぱい知ってる。
だけど、
「美緒ちゃん前に、ストーカーされてたでしょ」
「………え」
驚いて、あたしは矢沢エイジを見上げた。
タレ目と一瞬だけ目が合ったけど、すぐにそらされる。
どうして、知ってるの?
中学の時、知らない若い男につけ回されたことがあった。
声をかけられたり、腕をつかまれたこともあった。
携帯電話にも毎日電話やメールがあって、ノイローゼ気味になった思い出したくない出来事。
だからこの男のことも最初警戒したんだ。
ストーカーは突然現れなくなったけど。
それも、恭兄ちゃんは知ってた?


