あたしは心からそう思って、本気でそう思って怒鳴ったけど。
矢沢エイジの傷ついたような顔を見たら、怒りは途端にしぼんでしまった。
「そんな顔、しないでよ……っ」
何も言えなくなっちゃうよ。
あたしにどうしろって言うの。
気持ちが同調したなんて言われて、どう返したらいいの。
あたしと似たような迷いがアンタにもあったなんて。
誰を好きになったのか、わからなくなっていたあたし。
『深田恭一』か、『矢沢エイジ』かそれとも、『深田恭一のフリをした矢沢エイジ』なのか。
そして気持ちが誰のものなのか、わからなくなっていたアンタ。
『深田恭一』か、『矢沢エイジ』それとも、『深田恭一のフリをした矢沢エイジ』のものなのか。
一緒だ。
考えたって答えが出ないところも、一緒。
だってもう、比べようがないんだから。
『深田恭一』はもう、この世にはいないんだから。
だから、
「アンタの勘違いで、いいじゃん…」
あたしの気持ちも何もかも。
すべては夢の中のことだったんだ。


