あたしの手を握る力が、突然強まる。
「そう、上手くいってたんだ。……キョンキョンが、倒れるまでは」
痛いよ。
手が、痛い。
でも、それ以上にその大きな手から伝わってくる、心の痛みがつらかった。
「時々ね、頭が痛いって言ってたんだ。でも本人はただの偏頭痛だって思ってて。けど……スタジオで練習してる最中に、頭抱えて倒れ込んで、吐いたんだ。すごく苦しそうで、俺とハルカはびっくりしちゃって動けなくて。ミッキーが冷静に動いてくれなかったら……」
あたしは強く、手を握り返した。
どっちにしろ死んでしまったんでしょ、なんて無神経極まりないこと、言えるわけない。
何も、言えやしない。
「グリオーマっていう、悪性の腫瘍だって診断を聞いても、俺よくわかんなくて。進行が早いからすぐ手術が決まっても、なんかまだ他人事って感じでさ。キョンキョンが病気なんて、とても信じらんなくてね」
けど、本人はそれ以上に現実感がなかったのかもしれない。
その矢沢エイジの言葉に、あたしはやっぱりひたすら後悔するばかりだった。


