複雑な気持ちになって箱から目をそらす。
そらした先には窓辺に立てかけられたギターケース。
その横には、音楽雑誌とか楽譜とかがぎっしり詰まったカラーボード。
矢沢エイジが送ってくれたDVDを見たから、
音楽と向き合っている恭兄ちゃんの姿だけはリアルに想像できる。
「もっと……」
もっと、色んなあなたが見たかった。
いくらでも、リアルに、すぐそばにあなたがいるって錯覚するくらい想像できるように。
あなたが死んでも、隣りに感じていられるように。
残された人たちには、それくらいしか許されないのに。
あたしはそれすら許されないの?
そう思ったとき、カラーボードの側面に、コルクボードが裏返して立てかけられていることに気づいた。
見ても、いいよね…?
誰にでもなく心でそう断ってから、あたしはボードをひっくり返した。


