家の中にあっさり招き入れられて、あたしは逆に不安になった。
大丈夫なんだろうかって。
だって、他の家族の人、主に旦那さんとかに知られたら大変なことになるんじゃないのかな。
普通は仕事してる時間だろうけど。
あんまり恭子さんが親しげに接してくるから、極限に緊張してたあたしは調子が狂っちゃった感じだ。
「お父さんはお元気?」
あたしの目の前でポットからカップに紅茶をそそぎながら、恭子さんが聞いてくる。
「はあ。まあ、元気です」
「そう。あ、心配しないでね? 連絡なんて全然とってないのよ。もうお互い大切な家
庭があるわけだし、昔みたいな気持ちはないんだから」
お父さんは本当にこれまで、連絡をとってなかったんだ。
じゃあこの人、どうしてすぐにあたしがお父さんの娘だってわかったんだろう。
「あの、何でわかったんですか?」
「うん? 何が?」
「あたしが酒井美緒だって、どうしてわかったのかなって…」
遠慮がちに聞いてみると、恭子さんはまた緩い笑顔をあたしに向けた。


