電車を乗り継いでたどり着いた家は、ごく普通の一般家庭の住宅っていう感じだった。
駅から少し距離のある静かな住宅街の中で、赤茶色の屋根の、ありふれた二階建て一軒屋。
花壇のある小さい庭は、きちんと手入れされてるのが歩道から見える。
これが深田恭一の家。
低い門の前から外観を眺めて、あたしは不思議と感動みたいなものを味わった。
「けっこう近いんだ……」
その家というより、家のある場所。
もっと言うと、あたしの家から一時間くらいで行けちゃうところに彼がいたんだって考えたら、不思議な気持ちになったの。
街ですれ違ったり、してたのかもしれない。
肩がぶつかったこととか、あったかもしれない。
そんな偶然があるわけないなんて、いまは思えなかった。
さっきからやかましく鳴っている心臓に手を当てて、あたしは深呼吸をした。
「…よしっ」
門から玄関のポーチに入って、インターフォンのボタンを押した。


