教えてくれるまで、何度だって頼むよ。
それくらいの覚悟はとっくにあるんだから。
「お父さん、お願い。もう二度と会えないなんて、絶対にイヤなの」
演技じゃなく、涙がこぼれた。
お父さんが急に慌てだして、表情を緩める。
「わかった。わかったから泣くな」
「ほんと…?」
「ああ。向こうの家の人には迷惑をかけないって約束、守れるな?」
今度はお父さんがあたしの手を強く握り返して、真剣な目で見つめてきた。
それにしっかりうなずいて涙をぬぐう。
ほっとして、涙が止まらなくなっちゃったみたいだ。
お父さんは「ちょっと待ってろ」って言って、部屋を出て行く。
少しして戻ってきたお父さんの手には、古そうな手帳があった。
「そんなに遠い場所じゃない。電車で行けるくらいの距離だ」
そう言って、お父さんは紙にそれを書き写してくれた。


