「そうだよ。だから本当に急で、いつ発ったのかもあたしは知らなくて。すごいショックだった…」
「美緒…」
「だからお願い。あたしがお父さんの娘だってことは絶対に向こうの家の人には言わないから。どうしても会いたいの」
お父さんは難しい顔で黙り込んでしまった。
だめかな、泣き落とし作戦でいくか。
本当に泣きそうだから、だますことにはならないし。
じっとお父さんから目を離さないでいたら、お父さんは深くため息をついた。
「留学先を聞いてどうするんだ。追いかけるのか?」
「すぐには、わからないけど。でも日本に戻る気はないって聞いたから、追いかけなきゃならないと思う」
お金なら、アルバイトで貯めたのと正月のお年玉がまるまる残ってる。
それでも足りなきゃ、貯まるまで待つ。
あたしはもう一度強く、お父さんの手を握った。


