次の日、あたしは熱を出した。
風邪じゃなくて、これはきっと知恵熱ってやつ。
たいした熱じゃなかったけど学校を休んで、一日中ベッドの上で考えてた。
熱でボーっとする頭で、ずっと考えて。
夜、答えが出た頃にお父さんが出張から帰ってきた。
スーツ姿のお父さんが、ノックの後にあたしの部屋に入ってきた。
「美緒。大丈夫か?」
替えのアイスノンを持ってきてくれたお父さん。
あたしは起き上がって「お帰りなさい」って言ったけど、すぐにベッドに押し戻される。
「いいから寝てろ」
「ありがと。でももう大丈夫だよ」
「いいから」
無口で無愛想なお父さん。
でも実はけっこう心配性だったりするんだよね。
「病院は行ったのか?」
「大げさだよ。ちょっと熱出ただけだもん」
「風邪かもしれないだろ」
「違うよ。喉痛くないし、鼻水もないし」
あたしは苦笑しながらお父さんに手を伸ばした。
「何だ?」
「手、握って?」
そう甘えてみたら、お父さんはちょっとびっくりしたみたいだけど、珍しく眉間のシワを消して微笑んだ。


