驚いた。

本当に、息をするのを忘れるくらいに。

この人だ。

この人が深田恭一だ。


『はァ? 記念に映像に残しとくって、なんの記念だよ』


不機嫌そうな顔つきが、いつもしかめっ面のお父さんに似てる。

ぐっと寄せられた眉、切れ長の瞳、細い鼻筋、薄い唇、シャープな輪郭。

三上くんより少し男くさい感じで、声もちょっと低くてかすれ気味。

この人が、深田恭一…。

あたしは画面から目が離せなくなった。

ハルカさんやミッキーさんがそれぞれの楽器で練習を始め、深田恭一も画面の端でギターを手に持った。

画面がまた、深田恭一に寄る。

ギター、弾くの?

あなたはパパノエルのヴォーカルでしょ?


「引けるの……?」


あたしが画面にそう問いかけても、過去の映像が答えてくれるワケないんだけど。



荒い映像の中の彼はなぜか、すぐそばにいる感じがした。