何その理由、ふざけてる。
信じられるわけない。
ってゆーか、そんなこと考える兄貴なんて最悪だ。
「やめてよ、本人は否定してんでしょ?」
「うん。だから俺の勝手な、キョンキョンのイメージなワケ」
冗談ぽく矢沢エイジが言ったその一言。
それがあたしの体のど真ん中に、深く突き刺さった。
そんなの目の前のヘラ男がわかるわけない。
「キョンキョンはさ、美緒ちゃんへの恋心を断ち切るために留学したの。もう二度と日本には帰らないって、そういう覚悟でね。けどせめて、自分っていう存在がいたことくらいは美緒ちゃんに覚えててほしかったんだよ。これも推測なんだけどねぇ」
「そんなの……勝手すぎるじゃん」
「勝手か……。そうだね、ごめん。全部俺が悪いんだ。もっとちゃんと、うまくやれるはずだったのに。台無しにした」
力なく呟いて、矢沢エイジがそのまま手を離そうとしたから、
あたしは逆にその大きな手を、ギュッと握った。


