日が落ちて薄暗くなった中、もと来た道を気付いたら歩いてた。

カップルの姿が目立つ中、駅に向かうあたしは一人。

さみしいな。

心が、空っぽになったみたいで。

大切にしていた何かが、煙りみたいに消えてしまった。





「酒井さん」





いつの間にかA駅の前まで来ていて。

中に入ろうとしたあたしを、静かな声が呼び止めた。

なんで…


「なんでいるの……」


顔を上げられないでいると、両頬を包まれ上を向かされる。

悲しそうな目と視線がぶつかった。

どうしてあなたまで、そんなつらそうな顔をするの?


「…帰るわけないよ」


ぐちゃぐちゃに濡れた顔を、あたしは目の前の胸に押し付けた。


「酒井さんが彼と一緒なら、それで良かったんだ。…けど、ひとりで戻ってきたら、誰がキミをなぐさめるのさ」





三上くんはどこまでも優しく呟いて、

あたしの涙を受けとめてくれた。









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