泣かないよ。
泣くにはまだ、はやいから。
振り返らずに歩くのは大変だったけれど、なんとか耐えられたのはきっとかっこつけたかったから。
あたしは恭一との関係を知ってから、自分を見失っていた。
ウジウジした背中を見せるより、背筋を伸ばして真っ直ぐ前を見て歩く後ろ姿の方が、きっとあたしらしいよね。
決意を胸に、メモを開く。
そこには住所とマンション名、それから部屋番号が綺麗な字で書かれていた。
「三上くんの遅刻した理由って、もしかして……」
いや、もしかしなくてもコレなんだろうな。
どうやって調べたのかはわからないけど。
優等生に遅刻させてしまうあたしって、愛されてる。
三上くんが言ってた本屋を見つけて、あたしはメモに、
そっとキスをした。


