三上くんは無言であたしをバイクに乗せて、家から30分くらい走らせたところにあるA駅の前で降ろした。
あまり使ったことがない駅で、この辺の地理とかもよくわからないんだけど。
「ここに…何かあるの?」
「あるよ」
ヘルメットを外した三上くんは、ポケットからメモを出してあたしにくれる。
デジャヴ?
あたしはハルカさんに、選択を迫られた時のことを思い出した。
あの時あたしが選べなかったメモには、恭一のいる場所が書かれていたけど…。
「……なに?」
すぐには受け取れなくて三上くんを見上げる。
彼は優しい目をあたしに向けた。
「この通りをずっと向こうに歩くと、大きな本屋がある。そこを左に曲がると緩やかな登り坂になってるんだ」
言いながら、三上くんはあたしの手にメモを握らせた。
けど、あたしは折られたメモを開けない。
とても、こわくて。


