う~ん。
渡すタイミングって、けっこうつかむの難しいものなんだな。
グランパを撫でながらあたしはうなった。
しかも意外と緊張するのはなんでだろう。
でも後になればなるほど渡すのが恥ずかしくなってきそうだったから、あたしは決意した。
三上くんが降りてきたらすぐ渡す。
三上くんが降りてきたら…
降りてきたら…
「酒井さん、お…」
「三上くんコレ!」
私服に着替えた三上くんがリビングに入ってきた瞬間、あたしはグランパを降ろして立ち上がった。
小さな箱を三上くんに差し出す。
「チョコケーキ焼いたの。あんまり甘くしてないから、よかったら食べて」
ジャケットを片腕にかけた三上くんは、目をパチパチさせてから箱を受け取ってくれた。
「……ありがとう」
小さく微笑んだ三上くん。
けどその微笑みはなんだか、さみしげに見えた。


