手の中でクシャクシャになってしまったチケットを、恭一の顔にベシッと押し付ける。


「アンタこそヒマなんでしょ? コレに付き合いなさいよ」

「だからヒマじゃなくて逃げてるん………何コレ?」


恭一はチケットを見て「おおっ」と目を輝かせた。


「この映画、俺まだ観てなかったんだよね~。どしたのコレ」

「もらったの。今日までだから使っちゃわないといけないんだけど…」

「えっマジで!? そりゃ行かなきゃもったいないね! え、あ、もしかして、俺を誘ってくれてんの?」


たれ目が更に輝く。

そんなに嬉しそうな顔されると、なんか…ダメだ、恥ずかしくなってくる。


「別にアンタじゃなきゃいけなかったワケじゃないよ。ただ急だったから、誰でも良かったってゆーか…」

「あ、ヤバっ!!」

「は? ヤバ…?」


何を急にって、ヘラ顔を見上げたら、

恭一は青い顔であたしの後ろを見ていた。