あたしたちの始まり。
それは確か、冷たい風が吹く学校の屋上で。
恭一が兄と知って、行き場をなくしたあたしの恋心を、三上くんが拾ってくれた。
他の人を好きになることで、報われない恋を忘れる。
その手伝いを、彼はしてくれると言った。
そうだ。
三上くんははじめから、あたしが恭一を好きだということを知ってたんだ。
じゃあ…あたしが三上くんを好きになっていたことは?
恭一への想いが消えたわけじゃないことは、自分でもよくわかった。
でもあたしは…
「わかってるよ」
三上くんはあたしを抱く腕を解いて、視線を合わせてきた。
眼鏡をかけていない彼の瞳は、やっぱり綺麗で静か。
「酒井さんはちゃんと、俺のことを好きになってくれたね」
囁きとともに向けられた微笑みに、あたしはまた大粒の涙をこぼしたんだ。


