なんとかしてあげたいけど…。
あたしもどうしようかな。
学校で普通にあげようか、それとも放課後どこかに出かけて渡すか。
小さいケーキにするつもりだけど、荷物になるかな。
…なんて。
そんなことを考えるフリをして、あたしはまったく別のことを考えている。
頭の中からあの手紙の文章が抜けないんだ。
『家族になってとは言わないよ』
わかってる。
恭一にもあたしにも、別々の家族があるんだから。
あたしもそこまでは望もうとは思わない。
『ただひとつ、忘れないでいてくれないか』
忘れられるわけがない。
なのにこんなことを言うのは、本当にもう二度と、あたしに会うつもりがないからで。
それから…
『俺はたぶん、きっとキミが、』
途中で止められた言葉のつづきを、あたしはなんとなくわかっている。
どうしてこんなことを書いたの?
ここが一番、あたしの中ですんなり受けとめられないでいる。