あたしを『美緒ちゃん』なんて呼ぶ人間は多くない。
親戚とか近所の人、それから…
深田恭一。
あとミッキーさんもだったか。
でも手紙なんてよこすのは、恭一くらいしか考えられない。
「酒井さん? 大丈夫?」
「え…?」
三上くんに肩をそっと掴まれて、顔を上げる。
あたしが固まっている間に、お母さんは下に降りていったらしい。
いつの間にかまた、部屋にふたりきりになっていた。
「手紙、お兄さんから?」
「たぶん。……開けてみないとわかんないけど」
「そう。じゃあ俺は帰るよ」
「え? 何で…?」
「ひとりで読みたいだろ?」
そう言って立ち上がりかけた彼の手をつかみ、あたしは首を横に振った。


