トレーにティーカップをふたつのせて、ウキウキした顔のお母さんが三上くんを見る。
「たいしたものはないんですけど、よろしかったらどーぞ」
紅茶と一緒にクッキーをテーブルに置く。
これ、この前お父さんが仕事の関係でもらってきた高いやつだ。
見栄はっちゃって。
「はやいよお母さん。取りに行こうと思ってたのに」
「いいじゃないのー。お母さんにもちゃんと挨拶させてよ」
お母さんはあたしの耳元で「お父さんに似てるわね」って、意地悪っぽく言った。
げんなりする。
彼はいま眼鏡かけてないもん、気付くよね。
三上くんは優等生らしく正座をして、お母さんに頭を下げる。
「急だったのに、ありがとうございます」
「いいのよー。次はゆっくりしてってね。おばさん料理がんばっちゃうから」
何が「がんばっちゃうから」さ。
もういい、好きにさせよう。


