「綺麗な部屋だね」
白いラグの上に座った三上くんは、短い感想をくれた。
「殺風景でしょ」
「そんなことはないよ。片付いてて、空気が綺麗だ」
「空気?」
「それから…酒井さんの優しい匂いがする」
匂いって……体臭?
香水ってあまりつけないから、匂いってつまりそういうことだよね。
「ど、どんな匂い? くさい?」
「まさか。いい匂いだよ。眠たくなってくるような感じの」
「なにそれ、ほめてる?」
「もちろん」
冗談ぽく笑って、三上くんは窓辺に目を向けた。
そこには誕生日に彼からもらった、あのステンドグラスが飾ってある。
神秘的で儚げな、青。
「朝ね、天気が良いとすごく綺麗に光るの。いつもこれ見て、気持ちよくベッドから出られるんだ」
「良かったよ。気に入ってもらえて」
「大切にするね。本当にありがと」
三上くんが少し嬉しそうに笑った時、ノックの音が響いてお母さんが部屋に入ってきた。


